【徹底解説】医師が副業を行う際に気になること10選【禁止?】

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医師が副業を行おうと思った場合、気にする点は多いと思います。そもそも副業をしてもいいのか、ダメな勤務先はどんなところか。誰もが気になる疑問をQ&A方式でまとめてみました。

そもそも、医師として働き、副業をする事は制限されることなのでしょうか?

副業することは『就業の自由』で守られており、禁止されていません。常勤先が私立、公立で違いはあるにせよ、多くは気にしなくても大丈夫でしょう。

2021年現在、医師の診療バイトは、他の業種と比べて時間単価がとても高い状態です。常勤先の病院のほかに、週に1-2回他のクリニックや病院に診療バイトを行う医師は多く存在します。

大学病院勤務のように、常勤先の収入が少ない場合には、診療バイトを行うことによって収入が安定している現状があります。

公務員は副業禁止ですが、公的病院に勤務している医師も公務員扱いなのか、民間病院では問題ないのか、それは一概になんとも言えません。

法律では医師の副業は禁止されていないものの、常勤勤務先の病院が副業禁止を規定している可能性があるためです。FAQ形式で見ていきましょう。

みんなが気になる質問10選            

国立病院、公立病院勤務の医師は公務員?

民間病院で副業を行うことに法的な問題は生じないと考えられます。

公的病院ではどうかというと、公的病院勤務=公務員医師という身分になるかどうかは一概には言えません。

例えば、国立大学病院は、国立大学法人といったような独立行政法人格をとっています。

この法人の分類によって、副業の法律での縛りが異なってきます。

一口に独立行政法人と言っても、①独立行政法人(特定独立行政法人以外の独立行政法人)、②特定独立行政法人、③地方一般独立行政法人、④地方特定独立行政法人、と4種類に分類されま

す。

それぞれの職員の立場は異なりますので、順に説明します。自分の勤務先がどれに該当するか確認してください。

  1. 独立行政法人
    これは、国立大学法人や、国立病院機構などが該当します。法律上、副業を禁止する規定はありません。
    1. 法人役員でないこと
    2. 就業規則(内規)で副業を禁止されていないこと
      →これらの条件が整っていれば問題ありません。
  2. 特定独立行政法人
    国家公務員としての身分になりますので、法人役員だけでなく、職員も法律上副業禁止になります。
  3. 一般地方独立行政法人
    これは、公立大学法人や、公立病院などが該当します。法律上、副業を禁止する規定はありません。
    1. 法人役員でないこと
    2. 就業規則(内規)で副業を禁止されていないこと
      →これらの条件が整っていれば問題ありません。
  4. 特定地方独立行政法人
    地方公務員としての身分になりますので、法人役員だけでなく職員も法律上副業禁止になります。
医師が副業禁止になる場合はあるの?

開業医の場合は、副業を行うことに特別な問題は生じません。

勤務医の場合は、勤務先の病院の状況で異なる可能性があります。

必ず「就業規則」や「服務規程」が存在します。その中で、副業に関する記載を確認することから始めた方がよいでしょう。

初期研修医は副業禁止?

平成16年(2004年)に設立された新臨床研修制度によって、初期研修医はアルバイトを禁止され、研修に集中することを求められています。

厚生労働省は初期研修医に対して「月額30万円」の収入を基準とするよう研修病院に求めていました。

その結果、地域差はあるものの、初期研修医の平均年収は400万円程度であると言われています。

厚生労働省が禁止したアルバイトというのは、医師免許を用いた診療のアルバイトであり、これはできないと厚生労働省HPの医師臨床研修に関するQ&A(研修医編)に明記されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/qa/kenshui.html

研修病院に対して「初期研修医がアルバイトを行わずに適切な指導体制の元で研修に専念できるように、初期研修医の処遇・研修環境を確保する必要がある」というような初期研修医の最低限の処遇を決めています。

これを遵守しなければ補助金が出なくなる、研修医の定員を削減されるということもあるため研修病院は、アルバイト禁止という規則を設けているのです。

つまり、研修医の診療のアルバイトは禁止されています。

それ以外のアルバイトは研修病院の「就業規則」や「服務規程」を確認してもらう必要があります。

最近のニュースで違法バイトを指摘された例がありました。

https://healthnet.jp/medipaper/medipaper-6673/情勢トピックス%EF%BC%8F調査・データ編-7/研修医278人が違法バイト%EF%BC%8F厚労省集計、61病院に順/

研修病院も制裁を受けることが実際にありますし、研修病院の規則を破ると解雇される可能性もあるので、初期研修医2年間は診療のアルバイトをしないことが望まれます。

副業して勤務先で問題になることはあるの? 副業がバレる可能性はある?

一般に、副業がバレる理由は3つに大別されます。

  1. 給与係などから納税額の増加を指摘されること
  2. 税務署から無申告を指摘されること
  3. 第三者によって密告されること
    です。

順に考えていきます。

①給与係などから納税額の増加を指摘されること

所得税については、確定申告をした際に個人で支払う、あるいは還付されるということで表沙汰にはなりませんが、住民税については、常勤先から指摘されることがあります。

常勤先の病院があると、一般的に年末調整を受けることが多いと思います。

住民税のしくみとしては、自治体が給与額に応じた住民税を常勤先に報告し、それを元に給与天引きを行う形式をとっています。

勤務先が複数ある場合には、給与が最も多い勤務先に合算した給与額分の住民税の報告をします。この時に、住民税の増加分があると、副業を行っていることが判明してしまうのです。

つまり、常勤先の経理部としては、病院の給与をベースに医師の税金をこの納税額で間違いない、と算出します。

一方で、その医師がバイトをしてある程度の額を稼いでおり、確定申告をします。

すると、税務署としては、医師の収入が年末調整した常勤先の源泉徴収票に記載されている額よりも多くなるのです。

追加で払う住民税が発生した場合に、税務署は、医師の勤務先病院に、まだ徴収されていない住民税額があったから、給料から天引きするように指示を出します(これを住民税の特別徴収と呼びます)。

この場合、常勤先の経理部は、医師が常勤先以外でバイトをしていることに気がつく、というカラクリです。

②税務署から無申告を指摘されること

副業所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。

しかし、この場合の申告は、所得税には当てはまりますが、住民税には当てはまりません。

つまり、副業所得20万円以下であっても住民税の申告は必要になります。

仮に、追加納税があった場合には、自ら納税しに行動を起こさないと脱税になってしまうので、注意が必要です。

③第三者によって密告されること

同僚から副業がバレるケースは少なくないと考えられます。

普段の会話の中で副業の話を持ち出してしまうことがあると、いつの間にか周囲に知られているというケースです。

収益がとても増えると、ついつい誰かに言いたくなるものですが、そういうことがきっかけになり得ます。

また、SNSやYoutubeで発信している場合にも、個人や勤務先が特定できる内容があれば、周囲に広まる可能性があります。

勤務先にバレないための対策とは?

住民税の特別徴収を普通徴収にする!

住民税は基本的に、確定申告後に追加分があった場合は勤務先に通知されて、勤務先から天引きされる、という形式(住民税の特別徴収)です。

住民税の徴収方法を、住民税の支払書類は自宅に送られてきて個人で納税する形式(住民税の普通徴収)に変更すると、勤務先に知られることはありません。

ただし、住民税は原則特別徴収であって、多くの自治体では特定の条件下のみでしか、普通徴収は認められません。そのため、絶対に勤務先にバレない保証はありません。

そもそも、勤務先にバレると困るのか?

公務員で副業が違法である立場であれば、問題になります。

しかし、そうでなければ、「就業規則」や「服務規程」さえクリアしていれば、問題ないでしょう。

勤務時間内に副業を行うことで業務に支障をきたさないよう、勤務時間外の時間帯に行うなど、周りに迷惑をかけないようにすれば、大きな問題にはならない可能性が高いです。

副業について日本医師会はどう考えているの?

主に診療バイトについて議論されていますが、医師を公務員として副業禁止と頭ごなしにすることは多くの医師は否定的だというデータが見て取れます。

https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20200129_11.pd

SNSやYoutube、ヤフオクやメルカリで稼ぐのは大丈夫?

これらの収入が、副業にあたるかどうかはケースバイケースとなります。

なぜなら、法律が時代に追いついていないからです。

個人所有の不用品をヤフオク!やメルカリなどに出品して、売却することは問題ありませんし、非課税です。

つまり、確定申告の必要もありません。

ただし、1品30万円を超える骨董品や美術品は譲渡所得となって課税対象になる可能性があります。

一方で、在庫を仕入れて転売する「せどり」を事業として行う場合は、営利目的であるため課税対象ですし、副業と判断されると考えられます。

年間20万円を超える場合には確定申告が必要になります。

SNSやYouTubeで発信して広告費収益などを上げている場合には、副業として判断されると考えられます。

有用な医学内容を発信している医師の方々も、最近はよく見かけるようになってきています。

ただ、公務員医師が実名・顔出しで発信する場合には、発信テーマによっては「品位の失墜」を指摘されて処分される可能性も否定できません。

投資(株式投資やF X、投資信託など)も副業になるの?

投資は、副業ではなく「資産運用」に該当します。

そのため原則的に問題になることはないと考えられます。

ただし、株式市場は平日9時から15時に開かれていますので、勤務時間内に取引を行うことに時間を取られて業務に支障をきたしてしまうような場合には、就業規則違反になる可能性も考えられますので、注意してください。

医師が副業を行うことに対する、当ブログの立場

このブログでは副業をすべきだ、という意図で作ってはおりません。

あくまで、副業という働き方もあるのです、という選択肢を見せているのです。

法律だけではなく、副業が勤務先の「就業規則」や「服務規程」に違反していれば勤務先から処分される可能性があります。

副業を行うことによって問題が起きた場合、勤務先側の監督責任が問われることに発展するため、副業を行うことに不安がある場合や、行っても大丈夫か迷う案件については、基本的に職場に届け出ておくのが無難です。

また、公務員の立場ではないけれど、大学などの医局内に内規があって、問題が生じる場合がある際には無理できないかもしれません。これは個人で判断する範囲内の問題となります。

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