医師の副業の種類とメリット・デメリットー医学知識を活かした副業について考察

聴診器

近年はITの発展に合わせて業務の機械化が進み、ネットワークの構築により必ずしも会社に出社をしなくても仕事ができるようになりました。また、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、国家事業として在宅ワークが推奨されています。

一方で医療機関や保健施設、老人ホームなどの医療・介護分野に関しては、業務のほとんどが対面式であり、アルバイトなどの副業でも医療機関内で勤務をする勤務体系が基本となっています。

保険診療においては新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴って、遠隔診療の適応拡大が認められたものの、基本的には直接対面しての診察が必要です。

保険診療という点では在宅ワークは困難ですが、医師の資格や知識を利用した働き方も多様化しており、在宅でできる仕事も多数でてきています。

ここでは医師の資格や知識を活用した在宅ワークについて紹介させていただきます。また、そのメリット・デメリットについてもまとめました。

① 医師の副業にはどんなものがあるか

医師が副業を始める一番の目的はお金を稼ぐためだと思います。医師免許を必須とする医療機関でのアルバイトは一般に高額で求人も多く、医師にとっては身近なものです。しかし、医師を必要としているのは医療機関やクリニックだけでしょうか?

インターネットを開けば、専門的な医学知識を提供するホームページがあふれています。医師監修の医療ドラマが人気を博しています。また医療機器や健康食品に関して医師と企業がタイアップして新商品を開発しています。

世間を見渡してみると、病院内での生活ではなかなか気付かない医師のいろいろな働き方が見えてきます。ここでは保険診療や医療機関でのアルバイトではない、医療知識を有効活用できる副業を中心に見ていきます。

代表例が以下の通りです。

1.遠隔読影

パソコン 仕事

遠隔読影とはCTやMRIなどの検査結果の判読を業務委託として請け負い、病院外で読影を行うものです。遠隔読影が可能な検査は、胸部X-pやCT、MRIといった画像検査、心電図や脳波といった生理検査、眼底写真や病理標本など多岐にわたります。

メリット

・期限を守れば時間や場所にこだわらず作業ができる

・診療科の専門性を活かした業務を行うことができる

・日常診療と近い内容なので仕事を請け負う負担が少ない

デメリット

・できる診療科が限られる

・募集が限られる

・業務によっては設備の準備が必要

遠隔読影はCTやMRIの依頼が最も多く、読影の専門医をもった放射線科への依頼が主です。その他に業務に応じて呼吸器内科や眼科、病理科などへの依頼があります。

また業務を行うにあたり、画像読影であれば画素数の高い画像読影用のモニターを要したり、生理検査であれば検査結果を表示できるソフトが必要であったりと、請け負う業務内容によって設備を整える必要があります。

いろいろな制限はあるものの、日常診療がそのまま在宅ワークにつながることは大きな魅力であると思われます。

2. メディカルライティング

メディカルライティングとはホームページや書籍などで使用するための医療記事を作る業務です。昨今ではいろいろなクリニックや企業が病気やその予防についての医療情報をホームページで公開しています。

各企業はこのような情報をホームページで公開することで宣伝を行い、またGoogleなどの検索サイトで検索結果の上位に表示させる工夫をしています。

そのため、ホームページに掲載するための記事作成には一定の需要があります。正確な情報発信のために一般的な記事作成よりも好条件で、医療従事者に記事の作成を依頼していることも多いため、文章の作成が得意な人にとっては取り組みやすい仕事の1つです。

メリット

・時間や場所にとらわれず仕事ができる

・Wordなどの一般的な文書作成ソフトのみでできるので、事前の準備や設備投資が不要

デメリット

・文章が不得手である場合には、時間単価が下がる

・作成物の出来が悪いとその後の依頼が受けにくい

記事作成に関しては記載内容を裏付けるような論文やガイドラインなどの引用が必要であることや依頼主のフォーマットに則って文章の作成が必要であることなど一定の制限があります。疾患についての説明を日常的に行っている医師にとってはそれほど大きな負担にならないと思われます。

多くの場合、作成した記事を読むのは医療関係者でないことが多いため、専門用語などを平易な言葉に言い換えるなど、読者の立場に立って記事作成をすることが求められます。

メディカルライティングを行う場合には、だれが読んでも理解できる内容での文章作成を意識しつつ、正しい内容の記載を行うようにしましょう。

3. 医療記事監修

ノート 書く

医療記事監修とは、既に作成された文章などについて、医学的に間違っていないかどうかの確認や訂正を行う業務です。

健康食品会社やサプリメントの販売会社などのヘルスケア関連の企業からの依頼が多く、商品の宣伝などで信憑性を高める目的で依頼をされることが多いです。

また、クリニックやヘルスケア関連サービスのサイト上で医学知識を一般の人にわかりやすく伝える記事作成でも需要があります。

しっかりと医師が監修しているということを公表することが目的であることが多いため、ほとんどの依頼で監修医師の名前や写真、プロフィールなどを合わせて掲載することが求められます。

医師監修は作成済みのものを確認する作業であるため、仕事の負担については監修を行う作成物の出来により様々です。

作成者がしっかりしていれば承認のみを行えばよいですが、内容が間違っている場合には依頼元と何度もやり取りを行う必要が出てきます。

監修は他人が作成した文章が、正しい医学的知見に基づき書かれたものであると裏付けるものです。記事などの作成は他人が行いますが、監修を行った記事に関しては、監修を行った医師がその記事についての責任の一端を負うことになります。

文章自体を作ることは不要であるため、文章を作ることが苦手な場合にはやりやすい仕事の1つですが、仕事を請け負うまでは監修する作成物がどの程度の完成度のものかはわからないため、注意が必要です。

4. 講演、レクチャー

自身の専門分野について、講演会やレクチャーを行うというのも医師の代表的な副業の1つです。

製薬会社などから依頼され医師向けに行うもの、自治体などから依頼され一般市民向けに行うものなど内容から対象まで様々です。最近ではWeb講演会なども盛んに行われるようになってきています。

普段行っているの医療の専門性を活かすことができるのが最大のメリットです。デメリットとしては、自分から講演の依頼を探すことが難しく、専門性の高いものは若手医師には依頼が来にくいという点があります。

会議室

まとめ

以上が医師の資格や知識を活用した在宅ワークの代表例となります。副収入は欲しいけれども、子育てや待機当番などで時間や場所の制約のあるアルバイトはできない方、学会などの移動時間を有効活用したいと考えている方にとって、このような在宅ワークは悩みを解決する手段の一つになるのではないかと思います。

新しいことをするのは大変ではありますが、今後もこのような在宅ワークは広がっていく風潮にあり、経験していることが大きな強みになります。

② 医師が副業するメリットとは

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医学知識を要する副業の大きなメリットとして、専門知識が必要であるため他の仕事に比べて単価が高いことが挙げられます。

医師が監修したものは一定の信用が得られることから、健康・福祉関係の企業や医療ベンチャーなどでは医師に依頼したい仕事を持つ場合が多いです。

一方で、医療機関外で働く医師は全体としてはまだまだ少ないため、高報酬な仕事を請け負うことができます。

メディカルライティングや医師監修業務など、内容によっては時間や場所にとらわれずに仕事ができることも大きなメリットです。

医師は診療科によっては休日であっても緊急での呼び出しに対応ができる必要があり、時間の束縛のあるアルバイトは困難なこともあります。このような時間や場所にとらわれない仕事であれば、自宅待機中や学会への移動時間などを有効活用することができます。

また、副業を行うと特に気になることとして所得税などの税金があると思います。アルバイトを行い、確定申告をされている方は実感されていると思いますが、累進課税制度のために副収入が増えるにしたがって納税額も増えていきます。

そのため、収入のわりには手残りが少ないと思うことも多いと思います。副業では働き方にもよりますが、多くの場合に“給与所得”ではなく“雑所得”で収入を得られます。

一般に“雑所得”を得るために使用した金銭については経費計上ができるため、収入の多い医師にとって副業で副収入を得るのは大きなメリットとなると思います。

そのほかのメリットとして、病院以外の企業の仕事に携わることで人間関係を広げることができ、見聞が広がることが挙げられます。

業務によっては医学知識以外にもいろいろな知識が必要になることもありますが、それらの仕事を通して医学以外の面でのスキルアップを行うことができます。医学以外のスキルを持っている場合にはそのスキルも活かして働くことができ、よりよい仕事を請け負うことができるのも大きなメリットです。

まとめると、医師が副業を行うメリットとしては以下のようなことがあげられます。

  1. 医学知識を必要とするため、高単価で仕事を請け負うことができる
  2. 時間や場所にとらわれずに仕事をすることができる
  3. “雑所得”での副収入を得ることができる(節税が可能)
  4. 人間関係を広げることができる、スキルアップができる

③ 医師が副業するデメリットとは

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医師が行う副業のデメリットとしては、アルバイトとは異なり、出来高算定となることから、仕事を達成して初めてお金が振り込まれること、慣れない仕事ではアルバイトよりも時間単価が低くなってしまうことなどがあります。

また、完成品の良し悪しは依頼者の判断となるため、完成度が低い場合には自分では仕事を達成したつもりでも達成したことにならなかったり、今後の仕事を請け負えなくなったりする場合があります。

病院などのアルバイトではバイトでの勤務時間が決まっており、またその仕事に精通した職員が補助に入ることが多く、わからないことなどを常に相談できる環境が整っています。

一方で、副業の場合には請け負った仕事の問題は自己で解決する必要があり、仕事を達成するのにかかる時間は人それぞれです。そのため、仕事にかかる時間やその完成度については個人の能力に依存します。

自分がどんなことができるのかを含めての仕事選びが重要であり、自分のスキルを活かした仕事探しが必要となります。

④ まとめ

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今回は医学知識という専門性が必要な副業を代表例に挙げて、そのメリットとデメリットについて考えてみました。勤務医のアルバイトは一般的に行われておりますが、ここで挙げたような副業に関しては聞いたことはあっても、実際に行っている方は少数だと思います。

しかし、忙しい医師にこそ時間を有効活用でき、節税もできる副業は好ましい働き方の一つと言えます。このページを読んでいただき、働き方への考え方に対して一石を投じることができれば幸いです。

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